2005年3月8日(火)晴れ
Azofra---Ciruena---Santo Domingo de Calzada---Granon 22.2km
INAHOさんから30分後れで出発。 Azofra村から野原の中を歩き続ける。 途中medieval boundary marker and cross ROLLOの石柱が超然と立っている。 説明を読むと、かつてこの村は巡礼者のための病院と墓地を備えていたらしい。 「病院+墓地」の組合せが、なんとも言えずシビアだ。 現代の私たちは必ずサンチャゴに到着すると信じて疑わずに歩いているが、かつては巡礼中に病や怪我を得て病院に入る人、運悪く命を落とし途中の村で葬られる人も少なくなかったのだ。 出発したきり帰って来ない巡礼者も多かったのだろう。 彼らは家族や故郷と、永遠の別れの覚悟で出発したのだろうか。 巡礼から家族の待つ故郷に無事帰還した人物の、その後の人生はどう変わったんだろうか? しばし野原の真ん中で立ち尽くす。
16キロ歩き続け、やっと人口6万人の町Santo Domingo de Calzada着。 この町にはMiracle of the Cock and Henという巡礼者にまつわる伝説があり、カテドラル内部、天井近くの鶏小屋に白い美しい鶏が2羽住んで?いた。
INAHOさんの足のマメが酷くなっているので、スポーツ用品店で靴を買う。 靴こそが、本当に重要だ。 私は足の幅が狭いため、泣く泣く3万円近く払いイタリア製を買ってきたが、これが大アタリ。 マメは一つもできず、靴の苦労は皆無だった。 ところが思わぬことが、この日の午後に起きるのである。 神様、私は謙遜を忘れていました・・・・・
靴を買ってから町のレストランで食事。コースメニューでパエージャを頼んだところワインが出てきたので、珍しくガブガブ飲んだ。 午後は今日の目的地Granon目指して、7キロ歩くだけだ。ホロ酔い加減で機嫌良く畑の中を歩いていたが、あと少しというところで突然歩けなくなった。 酔いがまわったか?!
何とかINAHOさんに追いつき、教会のアルベルゲへ。
Granonのアルベルゲの入り口
ここは後に「アルベルゲ・ハリーポッター」と命名されるほど「魔法」じみていた。 教会と同じ建物の中にあるアルベルゲの居間には、大きな暖炉が燃え、飾られている置物の一つ一つが魔法の道具のようなものばかり。 この部屋から屋根裏へのぼり、そこにマットを敷いて眠るのだ。 キッチンでは魔法学校の校長のような、真っ白の長い髭のおじさんが調理しており、ブルガリアから来たという不思議な女の子が手伝っていた。 ここの神父様は建築マニア及びイベント好きらしい。 食事中は次から次へ、楽しいプランを話していた。 今年、村でやる劇の話とか、塗りなおすペンキの色とか・・・ アルベルゲは特に料金を決めておらず、「各自の寄付」で運営されている。 おいしいご馳走が山盛り出され、申し訳ないくらいだった。 なんと私たちのために、「鶏をシメタ」と言われた・・・・(汗)
聖堂に行くには、壁の中にある秘密の螺旋階段で一度塔に登り、そこから直接入る。 食後に再び聖堂の2階部分へ上り、私たちのために「巡礼のお祈り」をして下さった。 「360度からのお祈りが可能な台」のような、不思議なマリア様が置かれていた。 神父様の手帳には、このアルベルゲに泊まった全員の名前とサンチャゴ到着予定日がメモされており、その日まで全員の名前で祈って下さっているのだそう。心強い限りだ。 私達の他には、「ポーランドから8ヶ月旅をし続け、家に帰る予定は未定」の無口な旅人ニック。
シャワーに入って、INAHOさんに頂いたシップを貼る。左足首が熱を持って腫れてきた。 9時には就寝。 教会はIglesia de San Juan Bautista.不思議な宿だった。
寄付
左は天窓から見た塔とコウノトリの巣、右は天窓から見た翌日の朝日